ひずみエンジニアリング

物質の潜在機能を引き出す「ひずみ」

火事場の馬鹿力のように、人間大きなストレスがかかると大きな力を発揮します。物質も同様に応力(ストレス)がかかると潜在的な機能を発現することが分かってきました。負荷による変形(ひずみ)を利用して新しい物質機能の創発に挑戦しています。



力で「創る・描く」最先端物性

-“力” と “かたち” が創り出す物理学最前線の材料機能-


物質には無限の機能の可能性が秘められています。ところが、現在私たちが手にしている材料機能はそのうちのほんの僅か一部に過ぎません。どうしたら物質の可能性を引き出すことができるのでしょうか?

私たちは、材料に適切な「力」を負荷し、意図した「変形」をさせることで、物質が潜在的に持つ隠された高度な機能を引き出せることを発見しました。例えば、薄膜の局所に押し込み負荷を与えると、とても小さな磁場や電流で作用するスキルミオンと呼ばれる「特殊な情報磁石」を力学的に創り出すことができ、ビッグデータセンターの大容量化・省電力化への応用が期待されています。また、半導体にひずみを加えることで電気的性能を飛躍的に向上する技術「ひずみシリコン(Strained Silicon)」は、既に皆さんがお持ちのパソコンやスマートフォンなどの多くの半導体デイバスの設計で利用されています。同様の技術は、Playstationなどにも利用される強誘電体メモリにも利用されています。このように、「力」と「かたち」によって新しい物性を創出・設計する科学と技術を開発しています。

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材料物性学研究室
材料物性学研究室
京都大学 大学院工学研究科 機械理工学専攻